偶然テレビを見ていました。

九十九里のハマグリ漁はシーズンになると猟師さんが海に歩いて入っていって、足がつくギリギリの深さくらいのところで足の裏の感覚のみをたよりに探り当て、用意してあった道具で掬っていくようなものでした。九十九里の波は砂を巻き上げて足元はまったく見えませんから長年の経験で培った足裏で見ます。

きっと、足裏の感覚というのは重力とかバランスとかリアルタイムにフィードバック、フィードフォワードされ、鋭敏なことだろうと思います。皮膚感覚も、誰でもそうだと思いますが、歩いていて何か鋭敏な、例えば画鋲の先のようなものを踏みそうになった瞬間、足を着地することなく回避できた経験があろうかと思います。

同じような機能は手の平にも備わっているはず、逆立ちも熟練して歩けるようになると、重力を感知できるようになるでしょうし。触覚はもちろんのこと、熟練した職人さんは掌や指先の感覚で信じられないような技術をお持ちでしょう、匠の技。

小手周りはどうでしょう、残念ながら、おそらくそこまで鋭敏ではないでしょう、生活の中で手の平や足裏と違って小手の触覚をたよりにすることはありませんし。上げ手ではそんな小手の皮膚感覚を養っていかないと、育てていかないとなりません、どうしたって上達するのに時間を要します。

上達への近道はありませんが、少し早める良い提案があります。手の平の触覚は優れていることを思い出してください。それを生かせば良いのです、つまり、上手の人の手を押さえる中で探っていくことです、上手な人がどのように手の内を作っているのか探ることには、優秀な手の平の皮膚感覚がとてもたよりになる、心強い友となります。

瓢漂会