ボクシングは右構え、左構えで学んでいくので、左右の足の前後が入れ替わるようなクロスステップはとても難しい。

空手や拳法などでは、例えば左構えから右着きで右足が左足を超えて前に踏み込むような場合がある。それがボクシングの半身ではそれが逆に足かせとなってできない。メイウエザーと戦ったマクレガーはサウスポースタンスから左突きで左足が右足を追い越す場合がかなりあり、解説もボクサーでないスタイルからだと叫んでいた。

でも、そんなことはなく、特にサウスポースタンスのボクサーにはよく見られる踏み込みだ。基本ではないのですが、おそらくサウスポーは経験的に知っているのでしょう。

このクロスステップ、スイッチヒッターならコンビネーションのひとつになりそうだが、そうでもない。そんなことが出来ていたのは知る限りマービン・ハグラーくらい。ハグラーの場合、相手がどっちへ動いたかと自分の足の位置関係から近いほうに自然に構えが移っていた。とても真似のできない、ちょっと信じられないようなナチュラルさだった。たとえば完成度の高いスイッチヒッター、チキータ・ゴンザレスとかナジーム・ハメド、今ならテレンス・クロフォードやケル・ブルックでも、明確に切り替える。

このことからもスイッチができるボクサーでも前方へのナチュラルなクロスステップはかなり高い技術になるかも知れない。

ただし、これをバックステップに使うことは比較的簡単だ。後ろの足を軽く後方へ下げ距離を外す技術をステップバックというが(上体をそるだけだとスウェーバック)追ってくる相手は半身なので、クロスステップバックなら、より速く、より余裕をもって後方に両足で歩いて距離を外すことができる。ただし逃げる一方だと見栄えが悪くなるので注意しないといけない。

WS000047