本気で打っていったら、本気でかかっていったら、目の前から消えた。気づくといつのまにか後ろに立っていた。なぜか床に寝かされていた。

武術では大げさに語られがち、こういった話はよく聞くことだけれど、よくよく考えてみれば、格闘技を習って上達していく過程では、当たり前に経験することだと思う、例えばボクシング、レスリング。

自分だってボクシングで、初めてのスパーリングは先輩の胸をかりるわけだけれど、まったく当たらないし、目の前から消える。消えたことも見えないし、気づけば目のまわりに星が煌いている、鼻からは赤く熱い液体が落ちる。

それが上達して、自分が先輩になると、まったく同じことを後輩にしている。自分の場合は特に打たれないことにこだわりがあったので、その辺のことは得意中の得意、実力者相手にもアンタッチャブルだった。

では今、自分がスパーリングなり、現役に挑戦したらどうなるだろう、と想像する。おそらく、初めてのスパーリングで味わった屈辱を、再び思い知らされることになるだろう。

何が重要か、目?勘?反射神経?たしかにどれもそうだが、足が最重要だ。

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瓢漂会
AF:無力化法
KV:崩し理論